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1 .現状の説明
1)業務内容、組織及び運営
中央臨床検査部(中検)の業務には病理検査、検体検査、生理検査の三分野がある。
平成12年度 稼働状況 件数
検査室名 |
尿 |
血液 |
細菌 |
免疫血清 |
生化学 |
病理 |
生理 |
輸血 |
合計 |
件数 |
37,584 |
343,313 |
105,730 |
105,730 |
2,627,923 |
19,448 |
50,990 |
41,235 |
3,308,314 |
病理検査:
試験的に取り出された臓器の一部、手術により摘出された臓器等を顕微鏡所見から組織の病変を判断する組織検 査や、体腔液、尿、婦人科材料等の細胞検査をする。病理解剖もこの分野の重要な業務である。
検体検査:
人体から採取した臓器、血液、尿、体腔液等、人体から採取出来るあらゆるものが検査の対象となる。検体検査 部門はその検査が成り立つ基になっている学問や分析技術により分類される。
生理検査:
人体からでる電気信号、超音波、磁気などを利用し行う検査。
診療に必要な諸検査を能率的に処理し責任体制を明確にするため、11 検査室に業務を分担し各検査室には室長
(医師)、主任(臨床検査技師)を配置している。中検の円滑、適正な管理運営を図るため、部長が統括する室長会 議、主任会議を毎月2
回開催している。
2)施設及び機器
検体検査部門と病理検査室は6 ・7 号館2 階、生理検査室は10 号館2 階に配置されており、循環器医療センタ ー、花巻温泉病院にもそれぞれ検査室が設置されている。検査部内のコンピユータ化、システム化を推進しており生 化学検査と血液検査の検体搬送システム、免疫血清検査の自動分注システムが稼動している。各システムには多くの 検査機器が連結されている。細菌検査システムの構築も進めている。
3)24 時間検査
休日や夜間の救急外来、入院者の検査に対応するため夜間や休日には2 名を配置している。輸血検査や化学、血 液の検査が緊急検査として数多く依頼がある。
4)委託検査
件数の少ない検査や特殊な装置を必要とする検査は検査会社に委託している。検査の受付、検体の搬出は検査部が 当たる。
5)精度管理
精密で正確な検査情報の提供は当然のことであるが、正しく設定された機器を使用しマニュアルに従い検査を行っ ても正確で精密な検査値であるとの保証は出来ない場合がある。検査値の維持、管理のため機器管理とともに管理試 料の測定による内部精度管理を行っている。外部精度管理にも全検査室が参加している。CAP
,日本医師会、岩 手県医師会、日本臨床衛生検査技師会など主催のサーベイランスに積極的に参加しており、その評価を室長、主任会 議で協議し業務改善に努めている。
2 .展望
病気の診断や治療は科学的根拠、証拠に基づき行わなければならない(EBM )とされる。中検の業務は医療を 行う医師に科学的根拠、証拠を提供する立場にある。必然的に世界的に公認された手法、設備により行なわれ、精密 度、正確度において認知された値を提供する事が必要である。このため各種精度管理により客観的評価を受け、絶え ず改善に努めている。輸血検査を含め24
時間体制の実施は医療の質の維持に果たす役割は大きい。又、脳死判定移 植法制定以来、岩手県、青森県、秋田県の3 県における移植に纏わる検査を24
時間体制で受付実施している。細菌 検査室のシステム化により院内感染対策、感染症治療に対する情報提供体制がより良質化する事が期待される。
3 .評価
検査業務の中央化は多量の検体を効率良く処理し正確度、精密度の高い臨床検査を実施するため必要不可欠であ る。各検査室も物理的制約のなかで、機能的には適正に配置運用されている。学会発表、研修会参加を積極的に行
い、活性化に努めはているがより一層強化する必要がある。医療制度改革を目前にし保険点数の削減が進み、一部の 検査実施は赤字の状態であり、全体的に収益率が悪化しつつある。予算の削減もあり高額の最先端機器の導入が出来 にくい状況である。今後、継続的に臨床検査を取り巻く環境は変化する事が予想される。より目的にかなった利用が 出来るように柔軟な体制を作り、日常業務の改善、改革を、より進めなければならない。

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