岩手医科大学臨床検査医学講座

第1号 〜


血液疾患と画像ファイリング

血液検査室 内田 妙子

 

 
 血液疾患の患者様が確認されると、我々は「新人だ。 」と俄かに慌ただしくなる。それは医師から連絡が入って分かる事もあるが、血球分析装置のTHMS H-3をオペレ−トしている人が気づく事が多い。まれに、血算値がほぼ正常で、異常細胞の割合が低値の場合は、鏡検者まで進まないと発見されない時もある。いずれの場合でも、染色担当者は、医師への連絡・塗抹標本作製・染色及び表面マ−カ−解析と一連の作業を即、実行する。
 白血病であればTHMS H-3から得られるペルオキシダ−ゼ(POX)チャンネルで、おおよその型を予測可能である。それと簡易染色所見を合わせて、表面マ−カ−の抗体を選択し検査に移る。
 表面マ−カ−の解析は、特にPOX(-)の細胞が骨髄系(M0・M6・M7)か、リンパ系(T cell・B cell・NK cell )か、分別できる事に威力を発揮する。Mixed‐Leukemiaの診断、一部の予後判定も可能であり、欠く事の出来ない検査になっている。又、CD45 のGating解析は、異常細胞や他の細胞の割合が分類の参考になり、鏡検者には強い味方である。
 さて初診時、末梢血液像の鏡検が当たった人は、台帳を作製してその異常細胞をスケッチする事になっている。絵を描く事の得意な人も、不得手な人も一様に俄か絵かきになる。
 もちろん、初診時の標本は鏡検台に置いているのだが、台帳の方が毎回のデ−タを継時的に把握出来るので便利である。全員で鏡検しているので苦肉の策である。
 現在、血液疾患で登録されている患者数は約400 名。増え続ける標本に囲まれ、せめて初診時だけでも画像でファイルしたいと数年前から希望している。それは同時に臨床へ、MG ・POX染色の画像、表面マ−カ−解析所見を直ちに発信出来る事になり、即診断・即治療と患者サ−ビスの一環につながると考える。
 新室長、諏訪部教授のご指導とお力添えをお願いし、より開かれた、愛される血液検査室を目指して試行錯誤の毎日である。

 


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