佳作受賞作文。

*この方は小学6年の時、第1回朝日「ぼくとわたしの健康」作文コンクール(朝日学生新聞社・日本小児科学会主催、文部省・厚生省後援)で、応募6、238編中、佳作を受賞しました。この機会に紹介しておきます。

『私の健康』

 私は毎朝、
「行ってきます。」
そしてお母さんの
「行ってらっしゃい。」
という声に送られて、元気に登校しています。毎日健康で、自分の家から学校へ登校出来る事を、うれしく思っています。
 私は、今年の3月まで国立療養所に3年間入院して、学校は病院のとなりにある養護学校へ登校していました。病院は、心臓病・糖尿病・じん臓病・てんかんなどの病気の友達や、私の様な喘息の人もたくさんいました。
 それまでは、市立病院に1年間で15回以上も入退院をくり返しました。3、4日の入院でしたが、風邪をひいて熱が出た時は、発作が長びくため1週間も点滴を続けていた時がありました。夜中息苦しくて目を覚ますと、お母さんが心配そうな顔で私の顔をのぞきこんでくれていました。夜の病棟は、暗くて静かで、自分のゼーゼー、ヒューヒューの音を聞くと、明日は少し良くなるのだろうかと、いつも不安に思っていました。
 国立療養所に入院しようと決めたのは、学校で発作が起きたり、夜中に発作が起きてもすぐに吸入や点滴をしてもらえるから、安心だと思ったからです。
 入院してから、自分より重い病気の人がいる事を知って、私の喘息はそれと比べると、軽い方だと思える様になってきました。
 3年間入院して、看護婦さんや先生方からお世話になり、発作も前と比べて良くなって学校も休まず行けるし、夜もぐっすり眠る事が出来る様になりました。
 健康な友達が感じない事や、その大切さを私は入院してみてわかりました。病院を退院して、自分の部屋の月や星の見えるベッドで、カエルの声や虫の鳴く声を聞きながら眠る事や、発作を気にせずに外で思いっきり遊べる事、お母さんの作ってくれた出来たての食事を、家族みんなで食べる時に感じます。  お母さんが私に、喘息は70%の人が良くなるけれど、残りは大人になっても治らないと言った事があります。(私はまだ、どちらにはいるかわかりません。)
 また、喘息とは『自己管理』という事をしなければいけない病気だとも教えてくれました。自己管理というのは、薬を忘れずに飲む事・発作の原因となる事はなるべく避ける・体をきたえる事・つかれたら早目にねる事だそうです。喘息という友達と、上手につき合う事が大切だとも教えてくれました。
 今、私は小学6年生で小児科に通っているけれど、そのうち内科に変わり、もしかしたら何年も内科にかかるかもしれません。
 2種類の薬を飲み、1日2度の定期吸入をして、アトピー性皮ふ炎のためのなんこうをつけ、アレルギー性結膜炎のための目薬をつけています。
 療養所にいた、糖尿病の人はおかしを食べたくても食べられないし、じん臓病の人は塩辛い物を食べられないし、心臓病の人は運動が出来ません。けれど、そういう友達も、喘息と同じ様に毎年少しずつ良くなるといいなあと思いながら、私も喘息と上手に付き合い希望を持って生活していきたいと思います。
(※病院名などはプライバシー保護のため一部変更してあります。)

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