(10)主治医のコメント(その1)
この方は、他の総合病院での長い入院生活であまり症状が改善せず、しかも主治医の先生から詳しい病状説明がないという状況に耐えられなくなり、私のもとを受診しました。その先生は呼吸器科医として著名でしたが喘息を専門に診察されている方ではなく、吸入ステロイドを積極的には使用されていないようでした。このように呼吸器専門医とは申しましても、専門とする疾患によって喘息に対する考え方やステロイドに対する考え方が大きく異なることがある点は十分認識すべきであると思いまた。
病気全般に言えることですが、症状が一向に改善しないのに、それに対して十分な説明がない場合は、はっきり言って医者を変えて見るべきです。その際ありがちなのは、良くならない病状をその先生に訴えず、単に医者を変えるのみで、同じ検査や同じ治療を次の医者でも受けるといった効率の悪いパターンです。先生から指示された事項を忠実に守ったのに一向に良くならないなら、はっきりその旨を先生に告げるべきです。その医者が良い医者か否かは、その良くならない病状に対して詳しく説明してくれて、次の手段を講じてくれるか否かにあると私は思います。次の手段とは、詳しい検査をしたり、薬を変えてみたり、あるいは専門医を紹介してくれたりすることです。この次の手段をうってくれない場合は早目に見限って、他の医者にかかるべきですが、できれば前医での治療薬を持参することをお勧めします。この方の場合は吸入ステロイドは行われていませんでした。
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