(9)主治医のコメント(その2)
600を超えたら2吸入、600を下回ったら4吸入と自分なりに目安を作っているのがわかると思います。また色々な事情で、時々は測定や吸入をしない時がありますが、これは人間ですから仕方ない事だと思います。しかし、(5)の女子高生も述べていたように、テオドールなどの気管支拡張剤と違って、病状が安定してくるようになると吸入ステロイドの場合は1回ぐらい忘れたからといってすぐ発作が起きる訳ではありません。大切なことは、2、3日休んでしまったからもういいやとあきらめずに、少しぐらい忘れることはあっても長い目で続けることです。よく、吸入ステロイドをしなくても、発作が起きないからもうすっかり良くなったと自己判断してしまう方がいます。しかし、ピークフローをつけていないと、苦しくはないけれども次第に気道炎症が再燃し、風邪を引いたりした際にまた病院受診が必要となるような発作が起きてしまうのです(喘息の治療薬とピークフロー)。ピークフローをつけていないとよく、「良くなったと思って薬を止めていたのに風邪を引いたら急に発作が起きた。」というようなことをおっしゃる患者さんがいます。しかし、これは決して急に悪くなったのではなく、次第に悪くなっているのです。ピークフローを記録していればこの過程が良くわかるのです。こうなると、治療はまた最初からやり直しになってしまいます。さらには、こうしたひどい発作を何度か繰り返すことで喘息は次第にしかも確実に悪化し治りにくくなる(難治化)ものなのです。できれば薬を一切中止したとしても、ピークフローだけは一生つけ続けることをお勧めします。これが喘息とうまくつきあう方法だと思います。
本人の手紙へ | ←主治医のコメント→ | 目次へ |
---|