(2)主治医のコメント(その2)

 これまでステロイドを手持ちで屯用するのは、状態が悪くなった時のみでした。彼女の状態を例に取れば、500から350位に低下して始めて投与するようなものです。これは、600から500に低下した時に追加投与するのに比べ後手後手に回っているとは思いませんか?病気克服の原則は、早期発見・早期治療と先手先手を打つことであることを考えると、喘息の管理もこのように行われるべきではないでしょうか?
 この場をかりて、患者の皆さんに是非お伝えしたいことは、1)喘息管理には、ピークフローメーターが不可欠であること、2)もしPF値が平均値を維持していても、風邪を引きやすく度々発作を起こすとしたら、それは自己ベストではないことを認識することです。ステロイド投与によって自己ベストが出せるようになるのは、一定期間の入院や自宅安静が必要なので、どの患者さんにもできることではありません。しかし、どの患者さんにも今の状態よりもっともっとPF値は増加できる可能性があることを忘れずにいて欲しいと思いますし、もしその機会があったら是非短期間ステロイド治療をすることをお勧めします(付録3:気管支喘息患者さんへ)。また、忙しくてそれができない場合は、自分は今決して完全な状態にある訳ではないこと、だからあまり無理ができないこと、悪くなりそうだったら早目に処置をすること、などを十分自覚して欲しいと思います。

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